武術の技を格闘技的なルールで使うには?

  • 2018/05/22(火) 20:00:00

さて、前回の続きです。
ルールの違いによって重要度が変化した結果、有効な攻撃スタイルが変化するということでしたね。体の中心線上にある急所を狙い合う武術では、攻防を行うラインが相手と自分の中心を結んだラインになり、
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対して中心線上の急所への攻撃が禁止された格闘技ではこの攻防のラインが外から内へ振り回すようなラインになるということでした。
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ここで、もしも格闘技的な、例えばキックボクシング的なルールにおいて武術家と格闘家が向かい合ったらどうなるか?
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だいたいこんな感じの軌道でお互いパンチ打ち合います。さて、お互い同時にパンチを打ったらどうなるか?
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大抵の場合、格闘家の頭を振ってのフック気味のパンチで武術家はぶっ倒されることになります。これは武術家の格闘家に対する典型的な負けパターンです。
ですから武術の技をキックボクシング的なルールで使う場合、まずこのパターンをどうにかしなければなりません。
どうするか?とりあえず相手の正面にいては危険なので移動することにします。どこに移動するか?
先に挙げた武術家同士の闘いにおける攻防ラインを思い出してください。
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この攻防ラインがキックボクシング的闘いになると、こう変化します。
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なので自分の前手で相手の前手を抑えてこのラインを取りに行きます。
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こうすることで武術家同士における攻防ラインと近い状況を現出できました。ここからならば武術の技を繰り出していくことができます。
こうした動きを通備拳斬卸会では「ライン取り」と呼んでいます。ライン取りの概念が無ければ武術の技は使えるようにはなりません。もちろん相手も邪魔しようとしますので、その場合こちらにも変化が必要です。具体的にどのようにライン取りを行うか?変化はどうするのか?そういったことまで文面だけで伝えることは不可能です。なのでこの先が知りたい方は、ぜひ通備拳斬卸会への入会をご検討下さい。ライン取りにつきましては、
蟷螂九手・推手・散手の講習会でも説明しておりますよ~、皆さんどしどし参加してくださいね( ´∀` )

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武術の理解に欠かせない「重要度」という概念

  • 2018/05/20(日) 00:14:42

眼、喉、金的などの人間の中心線に沿って存在する急所は軽い攻撃が当たっただけでも戦闘力を大幅に削ぐことができます。ですからいわゆる実戦的な戦闘になった場合、自分のこれらの急所を守り、かつ相手のこれらの急所を攻めるというのが一番重要度の高い攻防になります。お互いが相手の中心を攻めようとし、かつお互いが自分の中心を守ろうとする、その意識が拮抗している状態を表しているのが搭手です。

ちなみに武術における眼に対する攻撃は一昔前の空手漫画みたいに手でチョキの形を作って指で目を突く、のではなくて掌を柔らかく開いて指の背で払うように攻撃します。
そして武器術の基本は相手の中心を取りに行くことなのでこの搭手の意識は武器術とも共通していたりします。
それに対して、例えばキックボクシングのような格闘技は眼、喉、金的といった体の中心にある急所への攻撃が禁止されています。そして体の中心にある急所への攻撃が禁止されていると それらの急所を守ろうという意識は最初から存在しなくなります。
するとどういうことになるか?
それまで半身を切って体の中心を相手にさらさないようにしていたのが、途端に体の中心を相手にさらす構えを取ります。そして熊のように拳を外から内へ振り回すような攻撃をします。
そしてこの拳を振り回す動きというのは格闘技のようなルールにおいては大変有効な動きです。
さて、ルールによって攻撃の重要度が変化したことにお気づきでしょうか
いわゆる実戦での攻防では中心を取り合う攻防が重要なのに対し、格闘技では横面をぶん殴るような攻防が重要になります。
よく中国武術をしている人が格闘家と格闘技のルールで対戦してこういった仕組みが分からずにやられてしまうということがあります。対戦する前に自分のやっているジャンルがどういう性質のものであるかを理解するべきでしょう。
もう一つ例を挙げましょう。
素手の殴り合の場合ほとんどの攻撃は顔面を狙ってしまいます。

しかし、例えば手にナイフでも持った場合はどうでしょうか?とたんに顔面よりも腹部を狙うようになります。

ナイフの場合、腹部のほうが的が広く当てやすいですからね。つまりここでもルールの違いによる重要度の変化が起こっているわけです。武術を修行するうえでこの重要度の概念はとても重要なので覚えておきましょう。

これが八極拳の打撃だ!

  • 2018/05/15(火) 23:44:13

八極拳は威力が強いことで知られています、が、なぜか今まで八極拳の打撃でサンドバッグを打つような動画が上げられてこなかったみたいです。ま、生徒にミット持たせて吹っ飛ばすようなアホな発勁動画とかならありますが。まあとにかく、八極拳サンドバッグ打ちの動画に関しては私が一番乗りですね。某八極拳教室では生徒の八極拳の突きでサンドバッグの紐がちぎれて吹っ飛んでいくそうですがぜひyoutubeに動画を上げていただきたいものですね。
さて八極拳の突きがなぜ強力なのか?それは打撃に体当たりの威力を乗せてるからです。まあここまでは知ってる方も多いのかもしれませんが、知っていることと実際にできるかどうかは別です。基礎ができてなければ体当たりの威力を拳で支え切れないでしょう。特に手首がグキと行きます。
八極拳の突きについて、まずは順歩冲捶から解説していきましょう。
順歩冲捶では蹍歩という歩法が重要になります。蹍歩とは爪先をひねって体を横向きにスライドさせるような歩法のことです。まずは大きく踏み込むこと、これについては以前から何度も説明してます。
そして踏み込んだ足が着地する瞬間弓歩になります。
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そして着地した足へガーンと帰ってくる地面からの反動、これを利用して蹍歩を行い体を横向きにするわけです。

次に拗歩冲捶です。よくある間違いなのですが、移動して突きを打つ時、足で急ブレーキをかけた勢いで突きを打つというものがあります。例えるなら高速で走る自動車が急ブレーキをかけると中の運転手が飛び出してくる、つまり足を車、突きを飛び出す運転手に例えてるわけです。しかしぶつかる衝撃が一番強いのは車でそのまま突っ込んでしまうことです。拗歩冲捶はこの原理を利用して突くわけです。
突く時に後ろ足で地面を震脚しその反動で弾丸のように飛び込む、そして前足が地面に着地するより先に拳が目標に到達するように打つ、これで拳に全体重が乗ります。
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体当たりの要領で拳に全体重を乗せる、これでこそ八極拳の突きと言えるでしょう。


翻子拳の謎 その1

  • 2018/05/13(日) 20:41:43

翻子拳には他の武術にはない独特の特徴があります。それは構えがあることです。他の武術を見てもらえばわかりますが基本的に套路には構えは入っていません。蟷螂拳には構えみたいなカマキリポーズがありますが、あれは構えではないという話です。形意拳でも三体式というのが構えっぽく見えますが、これも構えではありませんね。しかし、翻子拳の旗鼓勢は構えなのです。馬賢達老師が旗鼓勢は構えだと言っておられました。正確に言うなら、馬老師はボクシングのガードを挙げたポーズや剣道の中段の構えを示して「これらと同じ意味を持つものだ」と言っておられました。
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と、言うことで旗鼓勢は構えなわけですが、そうなるとなぜ翻子拳にだけ構えがあって他の武術にはないのだろうかという疑問が起きます。いやもしかしたら探せば他にも構えを持つ武術はあるのかもしれませんが今のところ翻子拳だけです。そもそも構えるという行為は闘う相手が特定されてるときにするものです。このブログでも何度も言いましたが武術の基本は武器術にあるので、素手の技術はいわば武器術の補助に過ぎないと言えるでしょう。つまり武術の場合、最初から素手で戦うことは想定してない、もしくは素手で対処せざるを得ない緊急事態にのみ素手の技術が使われるということになります。そんないつ起こるか分からない事態を想定して構えを設定するのは非常に不合理でしょう。しかし翻子拳には構えがあるわけです。通備の翻子拳だけでなく、その原型となった東北の翻子拳にも構えはあります。ということは翻子拳は元々素手で闘うことを想定した武術だったのではないか?という仮説ができるのです。確かに翻子拳の武器術を調べても中国武術大辞典には刀の套路が少しある程度のことしかかれていません。それに対して太極拳や形意拳などは剣棍刀槍に加えて特殊な武器など豊富にあるわけです。この極端な違いはなぜ発生したのか?それについての私の仮説もまた機会があれば書いてみようかと思います。

漫画 男組

  • 2018/05/09(水) 22:48:07

男組という漫画をご存知でしょうか?

私はずっと男塾と勘違いしてましたが、

拳児よりも以前に八極拳についての紹介がなされた漫画です。実際に技術監修として松田隆智先生もかかわってたみたいですね。
ストーリーは、おそらく学園紛争とかがあった時代ですかね?、学生たちの集団が日本を闇で牛耳る「影の総理」と戦うというもので、今見るとツッコミたいところが山盛りになっていますが当時の漫画にはそういった疑問を抱かせない勢いがあったみたいですね。
この漫画に登場するのが八極拳を使う集団で形成された影の軍隊です。主人公である流全次郎はこの軍隊の隊長である李大広と死闘を演じます。その死闘のさなか、李は流に対してまるで師であるかのように八極拳の極意を伝えてゆきます。
「熊のように突進し虎のように打ち倒す、それが八極拳の根本だ!そのための一番重要なのは足の送り方、足の踏み込みだ!」KIMG0033.jpg
まさにその通りで踏み込みこそが八極拳の命と言えるものです。踏み込みを鍛えるためには徹底した踢腿の練習が必要なのですが、日本の八極拳修行者の多くは見栄えばかりを追い求めて踢腿のような地味で基礎的な練習をやりたがらないのではと思います。
私が作った八極ワンツーもこの踏み込みの力が無ければまるで効力を発揮しません。

ですから皆さん、李大広老師のお言葉をありがたく受け取り踢腿で踏み込みの力をつけましょう(^-^)/