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FC2ブログへようこそ!
初めまして宮沢雅宏と申します。
中国の西安において馬賢達老師と
田春陽老師より中国伝統武術である
通備拳を学んでまいりました。
このブログには武術に関する理論やエッセイを掲載してまいります。

本格中国武術教室通備拳斬卸会、現在会員募集中です!
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武術者必見の書!手塚一志著 ピッチングの正体

今回は我々武術を修練するものにとって大変参考になる本を紹介したいと思います。
それがこちら,「手塚一志著 ピッチングの正体」です。

野球の本じゃねーか! とツッコミが来そうですが,はっきり言ってモヤっとしたことしか述べられない巷のアホな武術解説書よりも断然に有用です。
この本ではどのようにすれば効率的に身体を使いつつ速球を投げることができるのかということを物理的,運動生理学的に分かりやすく解説しており,つまり「発勁」についてとても具体的に述べられているわけです。巷のイマイチ何言ってるのかわからない発勁解説の記事やら動画やらとは大違いです。考えてみれば剛速球を放つことも猛烈な威力の突きを放つことも身体で発生させた運動量を末端の手まで伝えるという行為は同じです。発勁というものは身体で発生させた運動量をいかにロスなく目標まで伝達させるかというテクニックなわけですからピッチングとの共通性があっても不思議なことではないでしょう。
さて,この本でまず押さえておきたいのは二重振り子構造と呼ばれる概念です。これは振り子が振れているときに振り子の中ほどを急停止させることで振り子が加速するというような運動構造のことで,この本ではこの二重振り子構造の動きをきつく戒めています。
振り子 応用_dib_LI

実は私もこの二重振り子構造の動きをしていた時期がありました。例えば突きを打つときに踏み込んだ前足に急ブレーキをかけることで反動で拳が飛び出すというような動きをしていたことがあるのです。
snap_gongze_20198503751.jpg
この二重振り子の動きというものはブレーキをかけるまでに発生させた運動量を他の部位へと伝えているだけなので,その運動量は本来ならばブレーキをかけずに発生させることのできた運動量と比べると当然少ないものになってしまうわけです。さらにブレーキをかけるために使われた部位に負荷がかかり故障を誘発しやすくなるというデメリットもあります。
それでは身体にできるだけ大きな運動量を発生させるためにはどうすればよいかというと,この本では並進運動を重視しています。
並進運動とは体の重心を移動させることです。
途切れることなくスムーズに目標に対して並進運動をすること,これが剛速球を生み出す秘訣になるわけです。
この剛速球を放つようなフォームで突きを打ったならばどうなるか?もちろん凄まじい威力の突きが打てます。
本の最後でこの剛速球フォームでのパンチの打ち方を解説してたりしますが,これぞまさに発勁ですね。
KIMG0122.jpg

とにかくここでは取り上げきれないような武術にとって秘訣ともいえることが山ほど紹介されているので,ぜひ皆さん一度手に取って読んでみてくださいね。
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梶原一騎原作による宮本武蔵漫画 斬殺者


宮本武蔵を題材にした漫画は数多くありますが,今回は梶原一騎が原作を担当した斬殺者について紹介したいと思います。物語は巌流島での決闘後,姿をくらました武蔵を討つために細川藩家老の長岡佐渡が流浪の剣客たちを屋敷に召集するところから始まります。長岡は剣客たちに酒をふるまってもてなし,剣術に対する所感を述べるように言います。
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すると集まった剣客たちは誰も彼もが名人・達人の境地の悟りを語りだし,これを長岡佐渡は醒めた顔で聞いています。
このシーンを見て思うのは「ネットの中の文字だけの世界にも名人達人がゴロゴロいるよな~」ということです。例えば,「○○拳の戦い方はああしてこうして~…」などといかにもそれっぽく述べていたとしても,結局文字だけで動画の一つも見せてくれないということがほとんどです。
たまに動画を挙げていたとしても無抵抗の相手に現実性の乏しい技をどや顔でかけているものばかり,いまだにそんなことやっているのかと思わずにはいられません。
発勁にしてもそうです。そんなに威力に自信があるのならヘビーバッグにでも打ち込んでそれを動画にとって見せてくれればいいのに文字だけで分かるわけないだろいい加減にしろ! 
それに対して当会は練習内容や技術をできるだけ動画で公開していますしオフ会も開いています。
もはやそれっぽいことを文字で述べてハッタリが効くような時代ではありません。今後は現実的な面から武術に対する研究がされていくべきでしょう。
しかし梶原一騎はネットなど微塵も存在しなかった時代に,現代のようにネットの中でハリボテのように自分を大きく見せようとする人たちの出現を見越していたかのようです。やはり人間の本質というものを見る目が一級品だったのでしょうね。

分母競技という考え方


今回もこちらの本の感想を書いてみようと思います。
この本の中で堀辺氏は「分母競技」という考え方について述べています。まず初めに断っておかねばならないのは、堀辺氏の追求する「ノールール」の闘いとはUFC大会のようないわゆる総合格闘技(MMA)のような試合らしいということです。まあそれについては、ここでは特に言うことはありません。重要なのは堀辺氏が最終的な目的地であるMMAに向けてどのような経路を設定したのか?というところです。さて堀辺氏はブラジリアン柔術(BJJ)の選手たちが、なぜMMAで優秀な成績を残せるのか不思議に思っていたそうです。なぜならBJJはMMAよりもかなり窮屈なルールで制御されているからです。結論から言えばMMAで重要なのはマウントポジションやガードポジションなどの体勢をとるためのポジショニングであり、BJJはこのポジショニングを極めて安全に身に付けられるようにルール付けされているわけです。つまりMMAはBJJの技術を分母として、その分母の上に分子となるMMA独自の技術を乗せているという構造になっているわけです。このMMAに対するBJJのような競技を堀辺氏は「分母競技」と呼んでいるわけです。分母競技が存在するのはMMAだけではありません。たとえばムエタイにも首相撲という分母競技があります。よくムエタイは打撃格闘技だと誤解されがちですが、じつは中心となる技術は首相撲であり、この首相撲という分母の上に分子となる打撃、投げ、関節の技術が乗っているわけです。さて、ここで問題となるのは、では中国武術にとって分母競技とは何か?と言うことです。それについて私はいろいろな仮説をもってますが、その話はここでは置いとくとして、重要なのは現在の中国武術の世界にもこの分母競技の概念が浸透してほしいということです。現在の中国武術のイメージは漫然と形をやるだけ、もしくは劣化キックボクシングをやるというのが定着していると思います。私はこのイメージを払拭したい と考えているので、以前から提唱している地力の計量化システムを分母競技として提案したいと思います。そして格闘技をやっている人たちに「お前ら本当に強いのか?だったらこのルールで結果を出してみろ!」と言ってやるのが夢ですな(^∇^)ノ

驚異の骨法98手


今回はこちらの本を読んだ感想を述べてみたいと思います。骨法については以前にも取り上げたことがありまして、中国武術的に見てとてもよく体系化されていることに驚かされました。今回、その骨法が完成したというこの本が気になったので購入して読んでみたのですが、とても感心させられる内容だったと思います。
まず、この本について私が思う結論を述べてしまうと「骨法とは壮大な実験プロジェクトであり我々中国武術を修行するものはその実験結果をありがたく利用させてもらうべきだ」と言えるでしょう。以下ではどういうことであるかを説明していきます。ちなみに世間的に見た場合、骨法にはよくない評判が流れていることも知っています。しかし今回はそういった評判の部分はシャットアウトして純粋に技術の部分にだけ焦点を当ててみたいと思います。実際に骨法にかかわったことのある方達ならば、どうしても感情のフィルターがかかってしまい的確な評価をできなくなるのかもしれませんが、骨法にも堀辺氏にも全くかかわったことのない私ならば完全に第三者の視点で評価を出来ると思います。
さて、まず最初に述べなければならないのは、この本にはツッコミどころが山ほどあるということです。例えば堀辺氏の想定するノールールの闘いというのはアルティメットファイティングのような試合のことなのかとか…。しかしこういったツッコミどころにもいちいちかかわってたらキリがないので、話題を骨法98手にしぼろうと思います。
私が今回最も関心を持ったのが骨法98手です。なぜかというとそのルールが興味深かったからです。骨法98手は大抵の格闘技では禁止されている金的攻撃が解禁されています。何でも特殊なファールカップを開発することで可能になったのだとか。そして素手による掌底攻撃も可能です。素手の掌底攻撃というのは指が目に入ったり、掌が耳に当たったりすると鼓膜が破けてしまうので大変危険です。よってこちらも大抵の格闘技で禁止されています。一応、眼を狙った攻撃は禁止ということになっていますが、実際問題選手たちはいつ指が目に入ってもおかしくない恐怖の中で闘うことになるわけです。
さてこうなると、以前に私が述べたように重要度が体の中心に集まってくるはずです。ならばその攻防は中国武術の様になるのではないか?と考えるからこそ私はこのルールに興味を持ったわけです。私はこの骨法98手の試合映像が見たくなったのでネットで見れないかと思って探してみたら、なんと有りました。ですがちょっとアレな感じなので画像だけ少し拝借したいと思います。
さて、この骨法98手を見た私の感想ですが、ハッキリ言って北派長拳もしくは通臂系武術の闘い方そのものに見えました。やはり私の予想は当たっていたと言えるでしょう。ちなみに寝技の部分は抜かして考えていますのでご了承ください。
この骨法98手の試合で頻出したのがこの対角線同士の腕が接触するという状態です。
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中心の意識が希薄なもの同士の闘いだと平行線同士の腕が接触しやすいのですが、このように対角線同士の腕が接触するということはお互いの中心の意識が濃いということを表しています。次に頻出したのが体の横方向に足を擦りあげるようにしての金的蹴りです。
hone3.png

いわゆるローキックとは全く違う蹴り方で、足甲を斜めにして直線的に金的を狙います。私も馬賢達老師よりこのような蹴り方を習ったことがあります。中国武術の技というのはこのようにお互いの中心への意識が濃い状態を想定して作られているので、この骨法98手は我々中国武術を修行するものにとって、とても貴重な参考資料であると考えます。
ちなみにその後の骨法は完成したはずなのにまたもや技術変化を起こしたようですが、そこまで私の知るところではありません。(´∀`*;)ゞ

拳児2の考察

今回は拳児2の考察をしてみたいと思います。そもそもいまさらなぜ拳児の続編が書かれたのか?その理由はまず間違いなくこれでしょう。
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この月刊秘伝で行われた武道武術漫画の人気投票で拳児は堂々の一位を獲得したのです。その影響もあって、拳児の作画担当だった藤原先生は各種のトークショーに招かれ拳児制作秘話などを語っておられるようです。
うーむ、だったらこういった企画は松田先生の存命中にやってほしかったですね~。
今回、拳児2を読んだことがきっかけで私はかつて松田先生が亡くなられた年に出版された、松田先生追悼号ともいうべき月刊秘伝2013年11月号を引っ張り出してきました。やはり今読み返すといろいろ思うところがありますね~。
まず今回の拳児2にはシナリオ協力として佐藤敏章という方の名前が入っていました。ちょっと調べてみたのですがビッグコミックの編集長も務めたことがある方のようで、どうやら純粋な編集者で中国武術の経験は無いようです。少し気になったのは先の月刊秘伝によると拳児連載当時の担当編集者さんの名前が佐藤さんだということで、もしかしたら佐藤敏章さんとかつての拳児担当編集者の佐藤さんとは同一人物かもしれませんね。
ツイッターなんかを見ると今回の拳児2を連載してほしいという声がちらほら見えますが、残念ながら無理でしょう。やはり松田隆智という稀有な固有性を持った存在は他にいないわけですからね。ただ、この拳児2、私の予想ではあと3回くらい続くと見ています。なぜかと言いますと松田先生が原作をして単行本に未収録の作品がいくつか残っているからです。つまり今回の拳児2をあと3回くらい続けて単行本未収録の作品と合わせ単行本一冊分くらいの容量にして出版してしまおうという動きがあると思うんですね。ですがやはり八極拳を使ったアクションは期待できないでしょうね~、できれば私に武術アクション指導者として協力させてほしい、なんてね( ´∀` )
まあ拳児2の残りの話はおそらく人物に焦点を当てたものになるでしょう。今回の話もヒューマンドラマみたいでしたからね。その点で気になる話が例の月刊秘伝に載っています。それは拳児というキャラクターを決める際に松田先生抜きで話が進み、当時の編集長の意向で拳児は「可愛らしい女の子のようなキャラ」にされてしまったということです。かつて私は某所より拳児の作画担当の人が「俺は少女漫画が描きたいんだ」とか言い出して松田先生と喧嘩になったという話を聞いたことがありましたが、真相は上からの意向だったわけですね。まあ要するに、モデルがいるキャラクターは別にして晶ちゃんとかトニータンとかそういうオリジナルキャラは松田先生のいないところで決められていたのだなと思うと、武術描写を抜きにすれば拳児の続編はいくらでも描けるな、などと思ってしまうわけです。そうそう、もともと松田先生が拳児として考えていたキャラは髪の短いわんぱくな感じの子だったみたいですね。
拳児2があと数回続くとして、そのうちの一話は李書文の話になるかもしれませんね。実際の伝記に基づいたものにするか完全なオリジナルにするかは分かりませんが、藤原先生も松田先生追悼号で描き下ろした李書文を使ってみたいと思うんじゃないですかね。
KIMG0042.jpg

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