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初めまして宮沢雅宏と申します。
中国の西安において馬賢達老師と
田春陽老師より中国伝統武術である
通備拳を学んでまいりました。
このブログには武術に関する理論やエッセイを掲載してまいります。

本格中国武術教室通備拳斬卸会、現在会員募集中です!
入会や講習会についてのご案内は通備拳斬卸会HPを御覧ください。

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武術界に蔓延する迷信 床を蹴らない歩法の真実 その2

と、言うわけで前回の続きです。
前に倒れ込む際に起こる重心の落下、その落下運動を水平方向への運動へ変換するためには水平方向へ押し出すための装置が絶対に必要になります。人間の場合、その役目を果たすのは足です。

要するに前方へ進めるということは結局のところ地面を蹴っ飛ばしてるわけです
さらに重要なことですが、この重心落下を利用した歩法、ハッキリ言って遅いです
試しにyoutubeで「地面を蹴らない動き」とか、るろうに剣心で有名になった高速歩法である「縮地法」で検索して、出てきた動画を適当に見てほしいのですが、どれもこれもヌターっとした動きでとても遅いです。それも当然で落下運動を水平運動に変換させる際に、どうしても変換に使うためのタイムラグが起こってしまうからです。さらに疑問なのですが落下運動を水平運動に変換させて動いた場合、そこからさらに動くためには再び位置エネルギーを得なければいけません。つまり再び位置エネルギーを得るために、またタイムラグが発生してしまうことになります。結局のところ「地面を蹴らない歩き方」というのは中学レベルの物理も理解できないどっかのアホが言い出した戯言だったと結論付けるしかないでしょう。
速く動きたいのであれば体をできるだけ上下させず思いっきり地面を蹴って水平方向の力を得るのが一番のやり方です。
こんなことは昔から剣道でも柔道でも言われてることです。ヘンテコなコツを身に付けると凄い動きができるなんてのは全て嘘っぱちでしょう。中国武術の場合、踏み込みの際に両足の膝を完全伸展させてしっかりと地面を蹴ることで高速歩法ができます。要するに速く動きたければ地道に長拳基本功を練るのが一番だということです。くれぐれも出鱈目に惑わされないようにしましょう。(^∇^)ノ
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武術界に蔓延する迷信 床を蹴らない歩法の真実 その1

いつの頃からか、武術関係者の間で言われていることに「床を蹴らないで歩く」というものがあります。ツダヌマ格闘街にも同じことが描いてありましたね~。

どういうものかと言いますと、倒れるときの重心の落下を前方への推進力へと転換するというものだそうです。

だからまあ地面を蹴るわけではなく身体が倒れそうになるところに足がついていくといった感じになるということらしいですね。
まあ要するに「地面を蹴らない系」の人たちが言いたいことはジェットコースターと同じ原理だと思うんですよ。
ジェットコースターというのは位置エネルギーを推進力へと転換させてものすごいスピードで走ることができる乗り物ですからね。

と、いうわけで「地面を蹴らないほうが速く動けるんだよ」という人がいたりするわけですが、ハッキリ言って嘘ですから。 本気にしてはいけません。
では何がどう嘘なのか説明していきましょう。
まず、我々が「歩く」という動作が可能なのは地面と足の裏との間に摩擦があるからです。

地面を蹴っ飛ばしてこの摩擦を利用するからこそ我々は前方に進めるわけで、もし摩擦が無かったり地面を蹴らないでいたりすればいつまでたってもその場から移動出来ません。そして位置エネルギーを前方への推進力へ転換するということですが、ジェットコースターの場合は落下するコースターをレールが徐々に水平方向へと推してやることでコースターの運動方向が水平へと変換するのです。

詳しい説明には三角関数の知識が必要なので割愛しますが、要するに作用反作用の法則です。
では人間の体の場合、重心の落下を水平方向への動きに変換するときに、このレールの役目を果たしているのは何か?
もちろん足です。足で地面を蹴っ飛ばしているからこそ落下する重心を水平方向への動きに変換できるのです。
長くなったので2回に分けます。

武器術を学ぶということは武器から身を守ることにもなる

このブログでは武器術と体術の一致についてさんざん述べてきましたが、そもそも武器術と体術を一致させることにどのような意味があるのでしょうか?中国武術が剣棍刀槍の動きを多局面へと応用させるような構造になっているということはもはや周知のこととして、実は武器術と体術を一致させることは護身術の観点からも重要な意味を持ちます。そこを理解するために、武術の技とキックボクシングやMMAなどの格闘技の技をもう一度比較してみましょう。
武術家同士の闘いはこのような攻防ラインの下で行うのでしたね。
snap_gongze_201856232410.jpg
対して格闘家同士だと攻防ラインはこうなります。
snap_gongze_201856234520.jpg
さてここで問題です。ナイフを持ってる相手に対して格闘技的な構えを取ったらいったいどうなるでしょうか?

身体を開いた構えはナイフを持った相手から見れば格好のです。
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得意のミドルキックが相手の肋骨を粉砕しても、鳩尾をずぶりとやられたら終わりです。
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得意の右ストレートが相手の顔面を粉砕しても、鳩尾をずぶりとやられたら終わりです。打たれ強さは関係ありません。
つまり格闘技的な構えは刃物を持った相手に対しては大変危険なわけです。それに対して武術の構えはどうでしょうか?

武術のように半身を切った構えはナイフに対して当たる面積を小さくできます。また、鳩尾のような刺されば即死の絶対急所をガードしやすいのも半身を切った構えです。
基本的に武器を持った相手にはこちらも武器を持って対処するのですが、普段から武器術を意識した稽古をしていなければ、いざという時に身の周りにあるものを武器化するということは難しいでしょう。武器化するということが身に着けば、靴も鞄も小銭も立派な武器です。
どうしても武器にできるものが身の周りに無い場合、武術の構えから横蹴りを放って相手と距離を取りましょう。
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横蹴りのようなシンプルな蹴りは格闘技の試合ではあまり使われることはありませんが、護身という観点から考えるとこれほど有効な技はありません。戳脚ではさらに低い体勢から脛を狙ったりします。
よく護身術の指導で武器を持った相手の腕を取り押さえに行くなどということを教えてたりしますが、絶対にやってはいけません。不可能です。相手と適切な距離を取ることを最優先にしましょう。そしてもし狙えるのであれば、横蹴りの体勢から武器を持った相手の腕の肘から上を抑えましょう。ここを取れれば相手の武器を無効化できます。
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護身術的な観点においては、武器術を意識した武術の動きは格闘技よりも有効度が高いということを覚えておくべきです。

中国武術の技は武器術と体術が一致しなければならない

武術における武器術と体術の一致についてはこのブログで何度となく述べてきています。では具体的に武器術の技とはどういったものなのか?今一度具体的に述べてみましょう。武器と一口に言っても様々な形態のものがありますが、中国武術における武器は剣棍刀槍のように長さのあるものが基本になります。こうした長さのあるものを操る際の最も基本的な動き、今回の動画では剣を想定していますが、こうしたものを操るために重要になるのが、相手の武器に接触して巻き落としその動きのまま相手の中心を取りに行くという動きです。この動きというのは槍におけるランナーチャーと同様のものです

そしてこの動きは素手においても同様でなければなりません。相手の腕を巻き落としてその動きのまま相手の中心を取りに行く、というのは蟷螂九手の動きに他なりません。劈掛拳や八極拳の技を突き詰めると蟷螂九手の動きになります。つまり蟷螂九手こそが様々な中国武術のエッセンスとなっているわけです。中国武術を格闘技的な視点でしか考えられないとこうした武器術の意識が理解できずパチモノMMAみたいなものが生まれたりします。現在ではむしろ中国のほうがパチモノMMAが盛んだったりしますね。

さて、この動画で示した一番簡単な散手ルールは何を隠そう蟷螂九手を対抗性運動化させたものです。以前の記事で蟷螂九手は突き詰めると推手になると書きました。この動画における攻防はほとんどが腕と腕がくっついたままの推手であることにお気づきでしょうか?
つまりルール設定を上手く行えば中国武術の技は意識せずとも勝手に使われてしまうものなのです。今まで日本で行われてきた散打大会にはこの視点が欠けていたと言わざるを得ません。通備拳斬卸会はこれからも飽くまで中国武術の視点に立った対抗性運動のルールを提唱していきます。

拳児2の考察

今回は拳児2の考察をしてみたいと思います。そもそもいまさらなぜ拳児の続編が書かれたのか?その理由はまず間違いなくこれでしょう。
hiden manga
この月刊秘伝で行われた武道武術漫画の人気投票で拳児は堂々の一位を獲得したのです。その影響もあって、拳児の作画担当だった藤原先生は各種のトークショーに招かれ拳児制作秘話などを語っておられるようです。
うーむ、だったらこういった企画は松田先生の存命中にやってほしかったですね~。
今回、拳児2を読んだことがきっかけで私はかつて松田先生が亡くなられた年に出版された、松田先生追悼号ともいうべき月刊秘伝2013年11月号を引っ張り出してきました。やはり今読み返すといろいろ思うところがありますね~。
まず今回の拳児2にはシナリオ協力として佐藤敏章という方の名前が入っていました。ちょっと調べてみたのですがビッグコミックの編集長も務めたことがある方のようで、どうやら純粋な編集者で中国武術の経験は無いようです。少し気になったのは先の月刊秘伝によると拳児連載当時の担当編集者さんの名前が佐藤さんだということで、もしかしたら佐藤敏章さんとかつての拳児担当編集者の佐藤さんとは同一人物かもしれませんね。
ツイッターなんかを見ると今回の拳児2を連載してほしいという声がちらほら見えますが、残念ながら無理でしょう。やはり松田隆智という稀有な固有性を持った存在は他にいないわけですからね。ただ、この拳児2、私の予想ではあと3回くらい続くと見ています。なぜかと言いますと松田先生が原作をして単行本に未収録の作品がいくつか残っているからです。つまり今回の拳児2をあと3回くらい続けて単行本未収録の作品と合わせ単行本一冊分くらいの容量にして出版してしまおうという動きがあると思うんですね。ですがやはり八極拳を使ったアクションは期待できないでしょうね~、できれば私に武術アクション指導者として協力させてほしい、なんてね( ´∀` )
まあ拳児2の残りの話はおそらく人物に焦点を当てたものになるでしょう。今回の話もヒューマンドラマみたいでしたからね。その点で気になる話が例の月刊秘伝に載っています。それは拳児というキャラクターを決める際に松田先生抜きで話が進み、当時の編集長の意向で拳児は「可愛らしい女の子のようなキャラ」にされてしまったということです。かつて私は某所より拳児の作画担当の人が「俺は少女漫画が描きたいんだ」とか言い出して松田先生と喧嘩になったという話を聞いたことがありましたが、真相は上からの意向だったわけですね。まあ要するに、モデルがいるキャラクターは別にして晶ちゃんとかトニータンとかそういうオリジナルキャラは松田先生のいないところで決められていたのだなと思うと、武術描写を抜きにすれば拳児の続編はいくらでも描けるな、などと思ってしまうわけです。そうそう、もともと松田先生が拳児として考えていたキャラは髪の短いわんぱくな感じの子だったみたいですね。
拳児2があと数回続くとして、そのうちの一話は李書文の話になるかもしれませんね。実際の伝記に基づいたものにするか完全なオリジナルにするかは分かりませんが、藤原先生も松田先生追悼号で描き下ろした李書文を使ってみたいと思うんじゃないですかね。
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拳児2の感想

まさか今更拳児の続編が読めるとはびっくりしましたね~、松田先生が亡くなったというのにどうやって話をつくるのかと思いましたが。今回、なぜこの時期になって拳児の続編が出来たのかについては思うところがいろいろありますが、まずは純粋に話の内容に焦点を絞って読んでみた感想を書いてみましょう。
舞台は朝の公園、怪しげな舞を踊るのは謎の呪術師…ではなく大人になった我らが拳児です。
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うーむ、かつて拳児がサンデーに連載していたころ、同じくサンデーに連載していた漫画で「王立院雲丸の生涯」というのがありました。

絵柄が拳児によく似ていたので拳児かと思って読んでいたら実は雲丸だったということがよくあったので、私達は雲丸のことをニセ拳児と呼んでいました。大人になった拳ちゃんはなんだかニセ拳児にクリソツな感じになってしまいましたね。
さて、物語は拳児の友人である太一の息子がいじめを受けてるというところから始まります。太一はあの後しっかりとエリートコースを歩んだようで今では国家公務員になってます。美鈴ちゃんと結婚したんですね。拳児の方は普段は中国にいるようで日本には一時帰国をしているようです。晶ちゃんはどうなったのでしょうか?まあおそらく中国で一緒に暮らしてるんでしょうね。なんせ拳児は高校こそ不良高校へ進学してしまいましたが、もともと頭脳は優秀で中国語も堪能、武術関係で非常に顔が広く何よりも数々の実戦をこなしてきた男です。中国を本拠地にして世界中で武館経営をしていても不思議はないですね。
拳児は太一の息子である拳太を自分のアパートへ招きます。どうも今、中国拳法の本を執筆中だとのこと。机の上には「謎の拳法を求めて」が置いてあります。
kenji nazo

拳児の口調から中国拳法の本を出すのは今回が初めてというのが分かります。てっきり拳児は松田隆智先生そのものかと思ってたんですが拳児と松田先生はどうやら別人のようですね。
さて、拳児はいじめっ子撃退のために拳太に八極拳の殺し技を伝授…などということは無く素人でも出来るような簡単な喧嘩技を伝授します。うーむこの技、太牛の玉帯功を思い出しますね。
kenji gyokutai
まあとにかくいじめを撃退できた拳太、太一は喜んで拳児のところへあいさつに行きます。しかし喜ぶ太一とは裏腹に拳児は不穏なものを感じていた模様、なんといじめっ子の親が太一の家に乗り込んできます。そこに駆け付けた拳児、なんといじめっ子の親と対決ということになってしまいました。うーむ、無茶苦茶な話だ。
まあなにはともあれ、久々に拳児の闘いです。でるか?猛虎硬爬山。
相手の親はどうやら実戦で空手を鳴らしてきたようで、容赦なく素手で顔面を殴ってきます。マスオーヤマもびっくりです。
それを拳児は紙一重で見切ります。業を煮やした相手は右の突きから右の蹴りへのコンビネーションを仕掛けますが、その技のつなぎの瞬間に相手の懐にもぐりこんだ拳児はボディへ寸頸、相手を吹っ飛ばします。って頸じゃねーよ!勁だからね。
kennji kei
勁と頸の字を間違えるあたり、やはり中国武術に詳しくない方が脚本書いてるのかなと思います。
まあともあれ、相手はこの雲丸先輩の一撃で戦意を喪失してしまいました。しかも自分の闘った相手が剛拳児だと知るや態度が一変、「あんただと知ってたら喧嘩売らなかった」などと言ってきます。お前には信念とか無いのか。
ラスト、舞台は再び朝の公園、拳児が八極拳の震脚をやると近くの大木の葉がザーっと落ちてきます。かつて拳児のじいちゃんが暗勁を木に打ち込んで葉を降らせたシーンを思いだしますね。
さて、以上で感想は終了です。なかなか無難な話にまとめたのではないかなと思います。
拳児2についてはいろいろ考察したいこともあるのでそちらはまた別に書きますね。

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