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FC2ブログへようこそ!
初めまして宮沢雅宏と申します。
中国の西安において馬賢達老師と
田春陽老師より中国伝統武術である
通備拳を学んでまいりました。
このブログには武術に関する理論やエッセイを掲載してまいります。

本格中国武術教室通備拳斬卸会、現在会員募集中です!
入会や講習会についてのご案内は通備拳斬卸会HPを御覧ください。

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踢腿の重要性を説く八極拳士たち

あらゆる中国武術の門派にとって基本的かつ最重要な練習は踢腿である、と私はさんざん言ってきましたが、蹴りがほとんどない門派、例えば八極拳や形意拳をやっている人たちの中には踢腿を軽視する人が多いように感じます。出来なくてもよいと思ってる感じですね。もしかしたらそういった人たちの頭には、このシーンが強く印象に残っているのかも知れません。
kunfu.png


つまり、飛んだり跳ねたりするよりも、ずーっと馬歩の姿勢のまま耐えるほうが強くなるというようないわば「空気椅子信仰」ですね。高い蹴りや跳び蹴りをやっても功夫は養えないと。けれども実は飛んだり跳ねたりする方がよっぽど足腰を鍛えられるんですけどね。私だったら「他人が空気椅子をやってる間に毎日飛んだり跳ねたりバタバタしろ」と言うでしょう。
実は八極拳で名人と呼ばれるような人たちは、おそらく全員、長拳基本功をやり込んだという事実があります。
例えばかつてあった中国武術専門誌「うーしゅう(武術)」の7号に長春八極拳の張世忠氏と李英氏のプロフィールが載っていますが、張世忠氏は子供の頃は太祖拳という長拳に属する武術をやっていたとのこと、李英氏も子供の頃は長拳をやっていたそうです。また全伝八極拳という本に長春八極拳の譚吉堂氏のインタビューが載っていますが、譚氏も子供の頃は長拳をやっていたとのこと、そして李書文の弟子である霍殿閣も長拳をやっていたと証言しています。また中国武術専門誌「武芸」の1996年夏号で呉氏八極拳の服部哲也氏が「長拳基本功 要、不要?」というコラムの中で呉氏八極拳の呉連枝氏がみっちりと長拳基本功を練り込んでいたことを書いています。他にも武壇八極拳の劉雲焦氏も李書文に習う前は太祖拳や燕青拳をやり込んでいたという話ですし、馬氏八極拳の人たちにおいては言う必要がないほどやり込んでいます。どうやら長拳基本功が嫌いなのは松田隆智先生だけだったんじゃないかという気がします。まあとにかく、中国武術をやる人たち全体のレベルを上げるには、もっと長拳基本功の重要性が認知される必要があると考えます。一人でも多くの人にそのことを気付いてもらいたいですね。
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七堂利幸氏の八極拳戦術を再考する。

本棚を整理していたら面白いものが出てきました。
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かつて存在した中国武術の専門雑誌「武芸」です。私がまだ中国武術というものの存在を知ったぐらいの時に買ったものですね。
さて、今回この雑誌を読み返していたところ面白い記事を見つけました。それは七堂利幸氏の記事です。七堂氏と言えば八極拳を実際に散打の試合で使うことを研究しておられた方でご自分でも散打の大会を開催されておられました。しかし、八極拳の関係者の間では七堂氏の評判はハッキリ言って悪いです。その原因は、七堂氏は套路練習しかしない八極拳修行者のことを馬鹿にするような発言をしていたこと、それでいて七堂氏が主張する八極拳の戦い方がまるで八極拳には見えず、まさに劣化フルコンタクト空手のようなことをしていたこと、にあると思います。私もそのような理由で七堂氏には全く注目していなかったのですが、武芸に載っていた記事を読んで再考の必要があると判断しました。今回はそのことについて書きます。
さて、記事を読んで色々と突っ込みたいところもあるのですが、まずは純粋に七堂氏が主張する八極拳戦術とはどのようなものであったかを見てみましょう。
七堂氏は八極拳の戦術として次の三つの項目を上げています。
(1) 絶対に下がらないこと
(2) 相手がスウェーやフットワークで逃げても独特の歩法でついていくこと
(3) 突き蹴りと投げが連携していること
これらについては私もその通りだと思います。特に(1)と(2)については呉連枝先生の演示によって八極拳基本の突きというものが紹介されています。
KIMG0060.jpg

それによりますと、まず構えた方の前足(左足)で踏み込むと同時に前手(左手)で相手を突く、この時縦拳で相手のガードをすり抜けるような突き方をしています。そこからさらに左足でもう一歩踏み込んで右手で逆突き(縦拳)を突きます。この逆突きの時にもう一歩踏み込めるかどうかが八極拳を実際に使えるかどうかの明暗を分けますさすが七堂氏は実際に八極拳を使うための研究をしてきただけあってそのことが分かっていたのでしょう。私が紹介してきた八極ワンツーも同様のコンセプトで作られたものです。


ここまでは素晴らしいのですが、では七堂氏の失敗は何だったかというと散打のルール設定にあったと言えるでしょう。七堂氏が採用していたのはフェイスガードをつけてのKOルールというもので大道塾というフルコン空手団体が採用しているルールです。つまり、このルールで闘うならば大道塾スタイルが一番合理的であり、このルールに習熟すればするほど大道塾スタイルに近いものが出来上がり八極拳の戦い方からは離れてしまう、結果的に劣化大道塾スタイルとでも言うべきものが出来上がり七堂氏は批判にさらされることになったと言えると思います。せめて回し蹴りを禁止するなどして八極拳のために差別化されたルールを考案するべきだったと思います。
まとめると、七堂氏の試みには非常にもったいないものがあるので、どうにか今後に生かせないかと思う次第です。

武術家ならば中心軸と丹田を鍛えよ

現在の武術の世界はよくわからないヘンテコなコツやらなんやらの言説が飛び交っています。以前の床を蹴らない歩き方というのもそうですし、他にも「体を捻じらない」とか「~動理論」とか…とにかく訳が分かりません。おそらくなんか変わったこと言って耳目を集めたいと言ったところでしょう。商売のためですな。まあ別に商売目的でいろいろ言うこと自体はいいと思うんですが、明らかにそれは嘘だろうということを垂れ流すのは問題ですね。武術に限ったことではありませんが、上達を目指すのならば騙されないように最低限の物理的知識や論理思考は身に付けておくべきです。ちなみに馬家の人達は文通武備の理念のもとに、腕っぷしが強いだけでなく学問レベルも高い人ばかりです。
さて、ヘンテコ理論のオンパレードは置いといて昔からこれは重要だと言われているものがあります。それは中心軸と丹田です。中心軸とは体の中心を貫くような軸状の意識のこと、この軸を中心として体はコマのように回転するわけですね。丹田は体の重心となる場所に存在する意識です。つまりどちらも実際にあるわけでなく飽くまで意識上の話ですね。さて中心軸についてですが八極拳には立身中正と呼ばれる要訣があって体をまっすぐ直立させておくことが基本です。中心軸を保った姿勢ですね。それに対して劈掛拳は立身中正にこだわらず、体を傾けまくります。では劈掛拳に中心軸の意識は無いのかと言えばそんなことは無く、身体が傾いていようと軸は保たれていなければなりません。スパゲッティのアルデンテみたいな状態になるわけですな。ちなみにこういう両手を回転させる動きは軸が保たれてるからこそできるわけです。

そして丹田ですが、丹田は頭、胸、下腹の三カ所に存在し、それぞれが体の重心となっています。この丹田に意識を集中すると全身の筋肉を統合させて使うことができます。私がしょっちゅう言っている両ひざを完全伸展させた踏み込みも丹田に意識を集中させることで可能になるわけですね。
この中心軸と丹田をいっぺんに鍛えられる優れたトレーニング法があります。
それが長拳基本功の踢腿です。
今現在、中国武術を練習する人たちの地力が低いのは踢腿の重要性が分かってないからだと思います。かつての武術関係のメディアでは発勁だの達人伝説だのといったことばかりが取り沙汰されてきましたが、一番肝心な踢腿についてはほぼスルーでした。まあおそらくオタク的な気質の人たちの耳目を集めることが一番商売になると踏んだのでしょう。長い目で見た場合、結局自分達の首を絞めてますけどね。
ですから、せめて私だけでも本当のことを言っておきます。中国武術において一番重要な練習は踢腿です。太極拳だろうが八極拳だろうがやるべきです。決してヘンテコなコツに傾倒しないようにしましょう(^-^)/

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